次の日、従姉妹は恐ろしいことに気付いた。

枕だけではない。

耳に何かを押し当てるだけであの声が聞こえるのだ。

例え自分の手であっても。

やがて別の声が混ざり始まるようになった。

時には老婆の声が、時には少年の声が口々に喋り喚いた。

そしてそのどれもが陰惨な内容だった。

「それからね、私は何があっても耳を塞げなくなったの」

そう言って従姉妹は立ち止まった。