幾日か過ぎ、時が経つにつれ従姉妹は壁の向こうの声を忘れて行った。

しかしある夜、布団でうとうとしていた従姉妹は、聞き慣れた声を耳にし飛び起きた。

壁の向こうの声。

それが確かに聞こえた。

恐る恐る枕に耳を当てると、女のすすり泣きが伝わってきた。男の罵声も響いてきた。

枕から耳を離すとそれは止んだ。

枕が壁の向こうと繋がったのだろうか。

従姉妹はその晩中、まんじりともせず仰向けのまま天井を見つめていた。