俺の親類には怪談好きが多かった。

祖母や叔父などは、ねだれば幾つでも話してくれたものだ。

中でも俺のお気に入りだった語り部は、年上の従姉妹だった。

この人が変わり者で、普段は無口だが気が乗れば話し巧みにオカルト色たっぷりの怪談奇談を聞かせてくれた。

静かな口調で語られる怪奇は俺を怖がらせると同時に高揚させ、聞き入りながらそこらの物陰に何か潜んでいるような気がしたものだ。