甘い香り…夢の中で感じた香り…

「先輩写真どうでした?」
優しい声…。
「あ、そういえば俺ずっと叫んでたの聞こえてました?」

ん?え?さっきからずっとイヤホンから聞こえてた声って…幽霊じゃなく…

「なんだ…よかった…」

「どうしました?」
「ううん。」

腰も…立てない。
「っん…」

あれ?本当に足に力がはいらない…
「先輩?俺帰りますね?」

ここで放っていくの?え、優しくないじゃん。
そう言い彼はあるきだす…

「あのっ…歩けないです…腰がぬけてて」

するとフッと笑って
「知ってますよ」
ゆっくりとしゃがみ
「掴まってください」
私は言われたとおりに首に手を回す。
体がふわりと持ち上がる。

「先輩今日一日で俺のこと知ってくれました?」

この子本当に素直…

「俺本当に先輩が好きです。」
車通りも人通りも少ない道で愁くんの声が響き渡った。