「先輩…付き合ったんですか?」
…すごく哀しそうな顔。

「うん。よくわからないんだけどね。」
「そ…そうなんですか!おめでとうございます。」
いっちゃんに言われたおめでとうって言葉はすごくうれしかったけど…誕生日に家族とか友達から言われるおめでとうって言葉はすごくうれしかったけど…なんでかな?

愁くんのおめでとうは嬉しくない…。
胸がキューッと苦しくなる。胃が少し痛い…


「でも俺諦めませんよ?」
強く力強く見つめてくる。
なぜか…また胸が締め付けられる。
さっきとは違って少し軽くなる…ドキドキ



…よくわからないけど。

「一緒に帰りませんか?」

「うん。い…」

返事を返そうとしているとタイミングよく杞憂がきた。
「ごめんね。かえろ!」
息をきらせて走ってくる…
まるで会話を聞いていたかのように…

「愁くんも帰…」
誘おうとすると杞憂に見られる。
駄目とは言われてない…けどなぜかそう言っているような感じ…

「ごめんね。今日はふたりでかえるね。」
「すみません。」
愁くんは笑顔で教室の方へ戻っていった。