後輩くん。

「ねぇ〜」
肩をたたかれる。

ん?


おもたい体を無理に起こす。

俺寝てたんですね。外が暗い…


「着いたよぉ〜!!」
高い声が頭に響く…



「ありがとうございます」

…外にもう一度目を向けると椛先輩。

なんで1人でこんなに暗いのに帰ろうとしてるんですか…杞憂先輩は何してるんですか。


はっきりしていない目を何度も何度もまばたきさせながらバスを降りる。

意識が朦朧とする…


少しでも声をかけていいですか?



やっぱり…今日も声が聞きたかったです。
動物園…一緒に周りたかったです。

勝手に働かない頭に思いを巡らせる。


少し遠くを…

遠すぎない距離を…

椛先輩との距離を考えながら歩く。
無事に椛先輩が家まで帰れるように…

「っ…」
頭がズキズキする。

痛い…

「ねえ椛ちゃん。」
ぼんやりとした視界…
目を細め声のした椛先輩の方を見る。

嫌がる椛先輩。
待ってください…

間一髪、椛先輩が殴られる事を防げた。

よかったです…

椛先輩が殴られなくて…

また意識を失った。