後輩くん。

「やっぱ口だけだったね!」
杞憂が私に笑いかけてくる。
返す言葉もなかった。

「ライオンだ!」
いっちゃんは一生懸命生肉をあげ、杞憂は隣で写真をとっている。
自由散策も残りわずか。
本当に愁くん時間はいいの?
私何考えてるんだろ。本当に…


いっちゃんに用事だと伝えて愁くんを探す。
いつもの愁くん好きな女子が歩いている。
でもそこに愁くんの姿はなかった。
動物園の自由時間も終わりバスへと戻る。

〖大丈夫?〗
なにも考えずメールをおくる。

返事がない。いつもなら早くかえってくるのに…


遠足は終わりバスを降りるが姿がない。
なんで私こんなに必死に探してるの…
帰り道…いっちゃんも杞憂も用事があるからと先に帰った…


「ねえ椛ちゃん。」
後ろから名前を呼ばれる。
振り返ると今日の朝告白してきた先輩と複数名の先輩。

「なんですか。」
こんなに暗い時になにがあるんだろう。。。

「もてるからってうかれてんじゃねーよ。」
と腕を掴まれる。
怖い怖い…

なにかいわれてるけど話がはいってこない…
手が目の前まできた…

殴られる…
私は目をつぶった。

ドス
痛々しい音。

おそるおそる目をあけると…
愁くん?!

「大丈夫です…」
ドタ

目の前で愁くんが倒れた…
どーしよう…
焦って自分の家まで連れて行く。

今日は両親共に仕事でかえってこない。

私はなんとか愁くんを部屋まで連れて行った。

「大丈夫?」
口から血が出ている。
それにしても熱い…
私は愁くんのおでこを触った。
熱がある!

口の血を消毒して熱さましシートを貼る。
キッチンでりんごをする。

「なんで。今日時間いらないっていってたのにきたの!!」
意識がない愁くんに声をかける。
不満をぶつけるように…

「はい。すみません。俺…昨日約束しましたから。でもうつしたくなくて…」
愁くんから返事が返ってきた。
目を覚まし…たの?
安心して思った事をまた口にしてしまう。
「じゃあ、時間いらないってそのためなの?」
「はい。」
なにそれ。
「じゃあなんでなんで帰り道にこっちきてんの?」

私なんか助けず家にかえってよ…。
「少しだけでもみたいと思って…。そしたら朝告白してた先輩が、殴ろうとしてたのでいつのまにか…」
と言うとまた咳をする。
「もう寝てて。」
これ以上喋ると愁くん気絶しそう。

私は布団をかけていつでも呼べるように近くで座っていた。