後輩くん。

ー遠足当日
昨日とは正反対に空には雲一つなく、太陽の光が差し、濡れた地面は反射した光で輝いていた。
傘をかしてもらったおかげで風邪はひかなかった。

各クラスの行き先により乗るバスも変わってくる。まあ、学年ごとだけど。

昨日メールしたけどかえってこなかった。
大丈夫かな?

安全に目的地の動物園につくことができたしよかった。

それにしても…いつも挨拶しにくる愁くんがこない。
って私なにきにしてるんだろ。

「まずどれいく?」
ワクワクして目を輝かせているいっちゃん。
ちなみに私もです。

「ねえ大丈夫?」
後ろの方で聞こえる女子の声。
もしかして…

「先輩おはようございます」
にこりといつのまにか私の後ろにいた。
女子に囲まれていたのは違う子だったんだ…よかったと安堵し、愁くんの顔を見る。赤い顔をしてマスクをしている。

「愁!」
いつもの女子集団がこっちを見ていた。
ギロ

コソコソ

うわ、こういうの本当に苦手。
「大丈夫?あのばいばい。」
私は体調だけ聞き、せんせの点呼の声の方へとむかった。

「まずはヤギのエサやりいこ!」
自由散策になり私達は好きなところへ回る。

杞憂は水族館に行きたいとあれほど言っていたのに今じゃ
「俺ライオンみたい!」「次はカンガルー」
などと言うほど。


「先輩。俺今日やっぱり時間いらないです。たのしんでください」

あれ?愁くん。なんかいつもと様子が違う。
時間いらないって…あ、もう他に好きな子ができたのかな。

思った以上に胸がギューッと苦しくなった。
なんでだろ。