浴室から出ると、脱衣籠の隣に水色のワンピースが置いてあった。


着飾ってなくて、部屋着でも着れそうなラフな感じ。


せっかく用意してもらったし、それに着替えてリビングに戻る。



陽稀さんは、ソファでコーヒーを飲みながら、パソコンをいじっていた。



「お、お風呂とワンピース、ありがとうございました」

「風邪ひくからな。ゆっくりできたか」

「…頭の中の整理ができたと思います」

「それ、俺に話せたりする?」



知らない人だからこそ、話せることもあるだろうと思って。


そう言ってはにかむ陽稀さんを怪しい人とは思わなかった。



むしろ、仮にも女の子家に上げて風呂入らせてるのに何もしてこないし。


そういう意味では信用できるかも。



簡単にだけど、陽稀さんに家出の経緯を説明した。


「…お兄さんから連絡はあった?」

「確認してないです」



スマホを確認しようとすると、電源が入らなかった。