社員の人がいるといけないからと、それなりの服に着替える。



ちょっと待って。



私って会社の人にはどう認識されてるんだっけ。



籍は入れてないから、奥さんってことじゃないはずだし…。



でも、前に虹太くんには夫婦って言われたよな…。




「陽稀さんか虹太くんにすぐ会えればいいんだけどな…」



玄関の扉を開け、社長室に向かう廊下を歩く。



曲がり角に差し掛かろうとした時だった。




「久しぶりに会ったっていうのに…陽稀は相変わらずね」




女の人の声だった。




それも声だけでわかるすごく妖艶な雰囲気。