お店のために結婚。



この言葉が頭の中で何度も繰り返される。



家を出ようとは考えてた。


でもこんな形ではない。




「お店が大きくなることは嬉しいけど、そのために梨都を犠牲にするのは間違ってる」

「……ちょっと考えさせてくれないか」




気がついたら、着替えて荷物をまとめていた。



最低限の荷物をリュックに詰めて、こっそり店の裏口から出る。



レストランにある大型テレビから映画が流れているから、きっとバレていないはず。




「どこに行こうかな……」



そう言えば、行く宛がないや。


しまったな…



ネットカフェ…カラオケでもいいかも。



ちょっと歩くけど、大きな駅の近くにならそういうお店は揃ってるはず。



するも、歩き出して数分も経たないうちに、雨が降ってきた。