視線が腹立つ。


新しいスマホを届けさせた虹太が、不敵な笑みで戻ってきた。



「目の前に立って、ニヤニヤしている虹太が腹立つ。」

「口に出して言うなよ」

「…梨都に何吹き込んだんだ」

「別に〜? 陽稀が突然結婚するとか言い出したからどんな子かな〜っていじってみただけ」

「いじってんじゃねぇよ…」



梨都は多分…一目惚れだと思う。


顔とか容姿とかそういうのじゃなくて…直感。



昨日の自分は、なんとかして傍にいてもらおうと必死だったように思える。



「梨都の政略結婚のこと、調べられるか?」

「しゃーねぇな」


虹太はなんだかんだやってくれるんだよな。


「その代わり、愛のある結婚にしろよ」

「ばっ……お前…!」



動揺して、思わず席を立った俺を背に虹太は社長室を出ていった。



「愛のある結婚ねぇ…」



梨都は…俺と心から一緒になりたいと思ってくれるだろうか。