「スマホの設定はある程度できる?」

「はい、なんとか」


説明書とにらめっこしながら設定していく。


昔のスマホの電源がなんとか入ったけど、予想以上にやられていて今後使えそうにはない。


なんとか連絡先だけでも新しいスマホに移すことが出来た。



勝手にキッチンでコーヒーを入れていた虹太さんが私の向かいに座る。



「これから生活していけそうかな」



突然聞かれてしばらく考え込んだ。



「陽稀さんを…信じてみたいです。まだ昨日出会ったばかりだけど」

「あいつは真っ直ぐな奴だから大丈夫だよ。特に政略結婚とか聞かされたらね…守ってあげたくもなる」


買い物の時の陽稀さんの悲しそうな顔が脳裏に浮かぶ。



「陽稀さんって…何かあったんですか?」

「梨都ちゃんは………知らなくていいよ」



優しい微笑みの裏には何かがあるような雰囲気を醸し出している。