「おはようございます…」

「早く着替えてこい。買い物行くぞ〜」



ホテルのビュッフェで朝食を済ませたあと、陽稀さんの車に乗って買い物に出かけた。


「なんか、陽稀さんって庶民っぽい」


社長だし、使用人みたいな人に言えば何でも買ってきてもらえるイメージ。


「そうか〜? まぁ、頼めば買ってきてもらえるけど 気分転換にショッピングモールに行くのもありだろ」


そう言って連れてこられたのは、ショッピングモールではなく百貨店。



確かに私の年代に人気なお店は揃っているが、なかなか普段手を出そうとは思わない店ばかり。


「しばらく暮らすんだから、たくさん買っとけよ」


なんて追い打ち……!


結果、安い値段の服をたんまり買ってもらった。


「安い服なはずなのに、合計金額恐ろしい…」

「気にすることじゃない。でも、靴くらいちゃんとしたの買おう」



そう言って、何足かヒールやスニーカーまで買ってくれた。



「陽稀さん、ありがとう!」

「おう」


中でも、レモンイエローのヒールは一目惚れだった。


すぐにタグを切ってもらい、履いてきたパンプスと履き替える。