「新たにホテル内に施設を追加する話なんだけどよ」


一気に砕けた話し方になる虹太。


同じ大学で大親友の虹太は、俺がホテルを任せてもらえるタイミングで秘書として引き抜いた。


全てを説明しなくても俺の考えを分かっててくれるから仕事しやすい。



「今度の会議で提携先決めるから頼むな」

「わかった、もう少し掛け合ってみる」

「頼んだぞ虹太〜」



虹太が部屋を出ていくと、しばらくしてフロントから連絡があった。



『学生らしき女性が1人すぶ濡れでホテルに。お声がけした方がよろしいでしょうか』

「……俺が行くわ」


時計を見ると0時近くだ。


外を見ると土砂降り。雷も鳴っていた。



雨宿りにしては、時間帯が遅すぎる。



ロビーへ行くと、ずぶ濡れの女の子が1人中庭を見つめて佇んでいた。



「…………あれ」



レストランで声をかけた店員だった。