さて、仕事に戻るかな。



ホテル〈contrast〉の社長に就任して3年。


中垣グループは、ホテルやリゾート事業をメインにしている。


親父が会長としてサポートし、俺と2歳下の双子の妹弟で各事業を管理。


その中でもホテル〈contrast〉は、中垣グループの中でかなり力を入れているものだ。


社長室に戻るとすぐに秘書の桜庭虹太(コウタ)がやってきた。



「また、あのレストランで食事されてきたんですか」

「よくわかったな、ストーカーかよお前」

「頬にデミグラスソース付いてますよ。いつものオムライス食べてきたんでしょう」


……何故店出る前に気づいてくれなかったんだ、美里。


静かにティッシュでソースを拭き取る。



「話し方堅い、いつも通りにしろ」

「真面目な話だからです」

「その話し方なら聞かねぇぞ」



チッ、と舌打ちが聞こえた。