「………大丈夫か?」
とあるレストラン。
自宅から近くて、頻繁に食事に来る。
そこで働いている女の子は、たまになんともいえない顔をしていた。
悲しい顔でもない、辛そうな顔でもないが、どこか気持ちを押し殺してるような顔。
「大丈夫ですよ」
俺の問いかけにそう答え、奥へ行ってしまった彼女から目が離せなかった。
食事も終わり、会計を済ませる。
「あれ、来てたんですか陽稀さん」
声をかけてきたのは、美里だった。
大学のゼミの後輩で、ここの店主と結婚してた。
「おう、相変わらずここの料理は美味いな」
「頑張ってるからね! 陽稀さんのとこのホテルに入れてくれてもいいんだよ〜」
「ははっ、考えておくよ」
たまたま息抜きに訪れてから、お気に入りの店だった。
大きくなる予感はしてるけど、まだ俺の穴場でいて欲しいんだよなぁ…。