未来の綺麗な字が俺の目に飛び込んできた

今まであった出来事が走馬灯のように蘇り

涙で歪んで前が見えなくなる



「っ…」



本当は泣き叫びたい
けれどきっと未来、お前はそれを望まない

最後くらい格好良くありたい




俺は胸にその手紙を抱きしめて
涙が止まるのを待った


「…未来の、弟。

お前は幸せになれよ…?」



弟はニヤリと笑って

「当たり前」

と言った


その笑顔は未来にそっくりで…

「…未来の心配もいらないみたいだな」



よかったと心から安堵した


病院で未来に頼まれたお願いがあった

『弟が、心配なの。
悠くんにしか頼めない…
私に独りじゃないって教えてくれた悠くんにしか。

だから…お願い

もしも弟が絶望したら…
支えてあげて

世界はそこだけじゃないことを教えてあげて

大切な人を手放してはいけないと教えてあげてほしいの』



俺はその代わりにデートをしてもらったんだけれど。

お願いは要らないみたいだった




未来の弟が去って
扉を閉めようとした時

風が俺の横を通り過ぎた気がした


まるで春を運んでくるかのような風。












君は俺の初恋

いつか…過去の恋だと思える日が来たなら

…新しい大切な人ができたなら



全力で…愛そう




それがお前の願いならば