3月
まだ俺には寒い季節

ピーンポーン
インターフォンの音が高く鳴り響く

「…はい」

俺はため息混じりに扉を開けた

「…暗いな、あんた」

目の前に立っていたのは未来の弟で。

「…お前は…やけに明るいんだな…」

未来は死んだというのに



弟はふっと笑って俺から目線をそらした

「…俺には…俺にとって何よりも大切な太陽があるから」



太陽…か

もう一度大きくため息をつくと弟は俺に一通の手紙を手渡した

「…姉ちゃんから、あんたに」




…未来、から…?
俺は勢いよく封筒を開く

何が書いてあるのか全く見当もつかない

本当は俺が嫌いだったとか
うざかったとか
…恨み言?

はたまたいつもみたいに感謝の言葉…?


考えるより先に俺は手紙を開いた



そこに書かれていたのは
手紙と呼べるほどのものじゃなかったけど


どんな手紙よりも

俺を…






“悠くんへ”