もう動かない未来に歩み寄りその手に触れた


もうすでに人の手ではないほどに冷たくて

その安らかな顔は余計に俺に苦しみを与えた



「…ずっと…何だよ」



涙が頬を伝っては…落ちる



「…こんなことになるなら…最後まで
言えよな…?」



落ちた涙は地面に流れ小さな水たまりを作っていく



「…好きだ…
ただ、お前が好きなんだよ…」




この想いはずっと俺を縛り付けて離してくれなかった




「お前の笑顔が…
弱いところが…
優しいところが…
何よりも…好きだったんだよ…」



急すぎるだろ…

あまりにも

お前はまだ…



生きていなくちゃいけなかったはずだろ…



俺はどうにか足に力を入れて立ち上がった

横たわる未来の顔の横に手をついてそっと顔を近づける

柔らかい
ひやりとした感触が唇に触れた

キス

好きで好きでたまらなくてそれでもギリギリのところでやめて、今まで一度もしたことのなかった

キス


まさかこんなことになってから

…なんて、想像すらしなかった



「…生きてるお前には、こんな馬鹿なことしなかったのに
……」



















『バーカ…』



頬を赤くした未来が俺を見つめる
そして優しく笑うんだ








叶わない夢だとしても









俺は…願う