「…未来は…諦めちゃったのか?」


俯き足を止める
歩く気になんてなれない


「…そう、だね
弟の部屋で私の診断書見ちゃったから…」


診断書
病気の…?


「…癌なんだって。
もう手遅れだって
…家に帰れたのは末期症状で、先が長くないから弟がお医者さんに家に帰したいとでもいったのかな。」



俯いているせいで顔は見えない
見たくない
見せたくない

それでもきっと未来なら笑っていると思った







まるで殴られたような衝撃が俺を襲う


俺は未来に近づいて肩を両手で掴みガクガクと揺らした

「諦めるなよ!まだ…」

「無理なの!





もう…






どうしようもないんだよ…」




そう…なのか?

もう、無理なのか…?



どうしようもない…のか




未来の悲しそうな声が頭に響く
それでも未来は俺を見据えた

「悠くん。





…ごめんね」


未来はそれだけ言って
俺の手を振り払って
家の中に入っていった