そろそろ帰るかと俺たちは帰路に着いた
未来を送っていくために家まで一緒に歩く
「…悠くん。今日は楽しかった…」
未来の家に着く直前に未来が俺に話しかける
「だろ?また…」
「最後に」
俺の言葉を遮って未来は笑った
「…最後に、
遊んでくれたのが悠くんでよかった
人生最初で…最後の。
デートは最高だったよ
ありがとう」
全てを諦めたような
けれど美しい微笑みになにも言えなくなる
「私はきっともう…ながく、ないけど
は、悠くんは…
悠くんにはこれからがあるから」
笑っているのに
ポロポロと頬をつたる光がある
「悠くんと最後にデートできてよかった…
楽しいこと
美味しいこと
むずかしいこと
誰かに頼ること
…ひとりじゃ、ないこと。
私が悠くんに教えてくれたこと。
今の私の宝物だよ」
その言葉は何よりも綺麗で
ただ綺麗で
そして辛く悲しい言葉
未来はもう自分がながくないと言った
死が少しずつ歩みを早めて
近づいていると
その時理解した
「…そんな、悲しいこと言うなよ」
違う
「そんな風に簡単に、諦めるなよ…」
わかっているだろう?
「お前がまだ死ぬって決まったわけじゃ…」
もう、未来は…
「…私は、死ぬよ」
自分の未来を知っているんだ


