「…ねぇ、どこ行くの?」

手を繋がれるのにも慣れたらしい未来が微笑んで俺に問う

「暑くない?」

俺はニヤリと笑って問い返した

「暑い…けど」

じゃあ…と俺は未来の質問に答えず歩いた


しばらくして俺は立ち止まった

「ここ、最近できたアイスの店。
他にもデザートとかあるんだって。」

目の前にドンと構えられた大きな店は
レンガ造りの洋風の店で
店内からは甘い匂いと煌びやかな音楽が流れ
女の子の笑い合う声が聞こえる

「…こんなの、初めて知った」

目をキラキラさせて店を見つめる未来に俺は自慢そうに笑う

「だろ?お前と来たかったんだよ」

「悠くん。いいの?」

と、言いつつも嬉しさを隠しきれない未来が可愛くてつい笑ってしまう

「当たり前だよ」

入ろうかとその扉を開けて
中に入った

店内は女子ももちろん多かったけど
カップルが大半を占めていて
みんな俺と同じ発想だと苦笑いをこぼす

「何名様でしょうか?」

店員の言葉に返事をして
案内をしてもらった

「男の人ってこういう華やかな雰囲気苦手じゃないの?」

案内された席に座りながら荷物を置いて
注文票に手を取る

「んー…まぁ、好きな人は少ないんじゃない?」

「え…」

確かにこういう店が好きな男もいると思うけど
少なくとも俺は
こういう店が好きなんじゃない


未来の…
「好きな人の…笑う顔とか
嬉しそうな表情が好きなんだよ」

微笑んでそういうと
未来は驚いたように目を見開いて
赤くなった

照れ…てる

可愛い…っ

嬉しくて
少しいたずらを仕掛けようとニヤリと笑う

「俺はお前の…
未来の笑顔が見たくてここに来たんだから、お前は気にせず笑え」




お前が好きだ




未来は馬鹿じゃない
きっと伝わる


未来はますます真っ赤になって
俺から目線をそらした