目の前に1人の男が立っていた

誰だよ…こいつ


未来の彼氏…か?


彼氏
その単語に急に苦しくなる

受け止める覚悟をしたくせに


「お前、誰だよ」

そう声をかけられて戸惑う

「…友達…だとおもう」


「友達…?」


不思議そうに首をかしげる男
なんで不思議そうにするんだ

「姉ちゃんに友人がいたのか」

………姉ちゃん…?

「お前は?」

彼氏じゃないのか?



「…俺は今あんたが手ぇ繋いでる女の弟。」



あっ…

パッと手を離して真剣な顔で向き直る

「それで、未来はどうなんだ」


「…ふっ。姉ちゃんのこと好きなら繋いでてもいいよ」


明らかに年下だというのに笑われた
一気に恥ずかしくなって顔が熱くなる


未来の弟はふっと笑い持ってきた小さな花を慣れた手つきで花瓶に刺す


「…未来はなんで…」

「俺が殺したんだ。」

ピタリと動きが止まる

今、何を


「実際には死んでないけどな。
…お前も…姉ちゃんの後を追いたいか?」


イタズラに笑う未来の弟

その笑い方は少し未来に似ていた



「後を…追う…」