「…なんでって…」

きょとんとした顔の未来は俺を見つめる

「弟が高校に行くとなると
制服とかに金かかるし、
受験一色になるから家の手伝いとかも全部どうせお前がするんだろ?
金稼ぎつつ、家の用事も全部するとか大変じゃん」


俺が助けてやりたいけど
きっとお前は俺の手を振り払って
「大丈夫」って笑うんだろう


いつもひとりで戦おうとするお前を助ける
俺が出来ることは
たった一つ

隣にいて話を聞いてやることだけだ



「みんなは弟を応援するのに。悠くんは私を心配するんだね」


俯いた未来
けどその表情はどこか嬉しそうだった

「…お金はヘソクリがあるからどうにかなるの」

自分が大変だから弟にも働かせたらいいのに
未来はそうしない

「私が高校に行けなかったから、弟には花の高校生活を知って欲しいんだ」

未来はそう言って笑った



いつもいつも
弟の事考えて

辛くてボロボロになっても戦うんだろう
諦めないんだろう



最後にはまた「よかった」って微笑むんだろう


「好きだよ」
あれ以来言っていない言葉
それはきっと未来の重荷になる

冗談めかして遠回りに言わないと
きっと未来は俺を頼らなくなる

こんな関係でもいいんだ
もう少しだけ…一番近くにいたい