私が大好きな声で名前を呼ぶ優太。
「ゆ、…た…、」
ベッドのスプリングがギシッとなる。
「ゆゆ。」
お願いだから名前を呼ばないで。
決心が鈍ってしまうから。
「ゆ、うた…!」
「ん、」
そんな優しい顔なんてしないで。
いつもみたいに 『もっと働け給料泥棒』って。『その残念な脳細胞を死ぬ気で動かせよ』って言ってよ。
「け、っこん、出来ない…!!」
その言葉を言ってしまえば、耐えていた涙が次から次に溢れてくる。
「ゆゆ。」
「やだ…!」
「聞いて、俺の話。」
「や…っ」
断じて聞こうとしない私に
「聞かな…んっ」
「うるせぇ黙れ。」
荒い口調とは裏腹に優しいキスを落とす。
「ゆゆ。」
「な、に…っ」
「ゆゆの口から聞きたいな、」
「なにを!話すことなんて、な、…い!」
「ほんとに?」
「うん、!」
「じゃあ、これは?」
優太のスーツのポケットから出てきたのは
「に、んしん、けん、さやく…っ」
「今朝ゆゆが落としてったよ。」
もう逃げられない。
優太の目を見てそう察した。