「え?何言ってんだお前。これは現実だぞ。夢でも何でもねぇ。まぁ、ちっとは違うけどな。」

時田「な、何だって?!冗談はよせよ。」

「冗談じゃねぇぞ。冗談なのは、夢から覚めるために、ほっぺをつねったお前の方だ。だいたい、あれは夢かどうかを確かめる方法だからな。夢から覚めるなんて、できねぇんだぞ、カス野郎。」

う…、そうだったのか。

つい、混乱して変なことやっちまったよ。

これが、現実の世界じゃなくてよかったぜ。

…って、全然よくないんですけど!!

いったい、どうなってんだよ?!俺。

どうすりゃいいんだ!?

このまま、俺はこの村にとどまって、魔物が怖くて、外に出ることもできずに、じいさんになるまで一生村の中で生活しなきゃならないのかよ?!

ああ、せめてアキちゃんに一度でもいいから、俺の思いを伝えておきたかったな〜…。

「帰る方法はあるぞ。なんたって俺はこの世界のすべてを知る男だからな。」

ちっちゃな着ぐるみは、再び宙に浮きながら、まるですべてを見透かすかのように俺にそう言った。

時田「ほ、本当か!?教えてくれ。」

「でも、それはお前次第だ。時田アタル。」

そして、この着ぐるみは俺の顔のとこまで登りつめると、俺の名前を呼び、不敵な笑みを浮かべた。