「……ごめん」
「謝らないで……もっと惨めになるよ」
こんな俺が何を言ったってもう、日菜琉には伝わらないのかもしれない……。
そんなの自業自得だ。
「わたしはただ……笑って欲しかった」
そんなささやかで簡単な日菜琉の願いにも気づかないで……今まで散々傷つけた。
でも、ひどいことばっかりしてきた俺の隣で、ずっと笑ってくれていた日菜琉だから……俺は日菜琉の本当の魅力に気付けた。
それを日菜琉が伝えたい気持ちが溢れ出していた。
「っ!?」
溢れ出した想いが、気がつけば日菜琉をベッドに押し倒して組み敷いていた。
衝動的に押し倒した俺の下で、日菜琉が潤んだ目を見開いて俺を見上げている。
怖い。
涙の残ったままの瞳がそう訴えていた。
「俺を好きでいろよ! そしたら……何ヶ月でも何十ヶ月でも……おまえが俺を嫌いになるまで好きでいてやる」
「……有宮くん?」
こんな上からで命令口調な告白しか出て来ない自分に、心底呆れてしまう。
俺を呼ぶ日菜琉の声が震えている。
声だけじゃない。
ちっさい体も唇も瞳も全部が震えてる。
それでも、日菜琉の気持ちをもう一度俺の方に向けたくて。
「善雅、だろ」
「えっ……」
「おまえだけが呼んでいい名前。つーか、呼べ」
ありったけの気持ちを言葉に乗せてるつもりが、脅しにしか聞こえないようなセリフになってしまった。
泣いてる女を慰めたいのに、更に泣かせるような言葉しか浮かばない自分に憤りすら感じてしまう。
今まで体だけの関係で相手を満足させられるって思い込んでいた自分にバチが当たったんだ……。
どんなに経験値があっても……結局、実際の俺は好きな奴に気持ちすらまともに伝えられなかった。

