謝らなきゃいけないってわかってるのに、


「……ごめん。俺が連絡しなかったから……」



ハッキリしない語尾でとりあえず謝るのが精一杯だった。


理不尽で勝手な苛立ちをぶつけたせいか。
日菜琉の顔をまともに見ながら謝れない自分が居る。


ごめんもろくに言えないなんて……俺ってこんなにな情けなかったんだな。


「ううんっ。補習終わって良かったね」


そんな自己嫌悪に陥ってる俺の心境を知ってか知らずか。
日菜琉が慌てて首を横に振って否定してみせた。


今度はさっきみたいに辛そうな笑顔じゃなくて、安心したように笑っている。
俺はそれを見て心底ホッとしてしまう。



「寒いし……もう帰ろ?」


日菜琉が俺の顔を見上げながら、促すようにいつもの帰り道に向かって足を一歩踏み出した。


……その寒い中で三十分も待ってたのは誰だよ。


一緒に帰るったって、俺らが一緒の時間はたかが十分程度の短い時間なのに。


そのために、倍以上の時間待ってたのは……誰だよ。



俺を促すように一歩足を進めた日菜琉に、気が付けば俺は声をかけていた。



「……ちょっと寄り道しねぇ?」



思わず口から零れた俺の提案に、日菜琉は驚いたように目を見開いて足を止めた。