「よかったらアドレス教えて」


「えっ?」


「ちゃんと相手のこと知ったら、気持ち変わるかもしれないし」


もしかしたら俺のことをもっと知ったら、俺への好意を取り下げたくなるかもしれない。


呼び止められて言われた言葉に、胸が今更ドキドキと高鳴り始める。


きっと城崎くんのことをもっと知ったら、わたしはもっと城崎くんを好きになると思う。


「俺も相沢さんを好きになるかもしれないし……」



付け足された言葉がわたしの頬をまた赤く染めていく。


城崎くんの一言でこんなにわたしが、ドキドキさせられてるなんて……彼は気付いてないんだろうな。


「だから知り合おう。お互いのこと」



そう言って差し出された手に、


「やっぱり、イイオトコだ。城崎くん」


はにかみながらわたしは自分の手を重ねた。



まさか……。


付き合ってる


この一言で有宮くんと日菜琉をビックリさせる日が来るなんて、わたしたちが知るのはもう少しだけ先のことだった。



おわり