それに、


「……そう思わないとやってらんない」


今まで通り過ごしてたら出会わなかった二人だったはず。


そのせいで日菜琉が傷ついたりしたなら、運命って言葉のせいにでもしとかない気が済まなかった。


それに……報われなかった城崎くんの恋心も。


「なんで?」


「だって、わたし有宮くんのこと……」



わたしの言葉のワケを尋ねてくる城崎くんに、正直に自分の気持ちを言ってもいいものか……。


仮にも親友なワケだし、



「気に入らないから。なんであんなヤツが日菜琉を……」



そう思って言いよどんだものの。


ハッキリと気に入らないって言ったら、城崎くんは苦笑いを浮かべていた。


城崎くんだって有宮くんの態度がよくないってわかってるなら、なんで彼に譲ったりするんだろう。


それが歯痒くて、


「どうせなら城崎くんとくっついて欲しかったなぁ」



傷心してるのを見ぬふりで城崎くんの痛いところをついてみる。


「……水原さんは誰とでも幸せになれる女の子だと思うけど、善雅は水原さんじゃないと多分幸せになれない」


「逆に言えば、日菜琉は有宮くんじゃなくても良いってことでしょ? ……例えば城崎くんとか」



返ってきた答えがいいひと過ぎて、張本人の城崎くんよりわたしの方が苛つきそうになる。


「……なんで有宮くんと別れて傷心で弱ってる日菜琉に近づかなかったの?」


苛つきついでについつい単刀直入に言い放ったわたしの言葉に、

「水原さんを好きである以前に俺、善雅の親友だから」


小さく笑ってこう呟いた顔がどことなく切なかった。


いわゆる、恋より友情をとったってヤツ。


彼は初めから報われない恋をしていたらしい。


そんな健気な彼を見ている間に高まった気持ちがまた、わたしを突き動かした。