保健室の前につくと、一回深呼吸をし、二回扉をノックした。すると、中から若い女性の声で「どうぞ」と声がした。「失礼します」と言いながらドアを開けると、保健室独特の消毒液っぽい匂いがした。保健室を見渡すと、ベットは2つとも空いており、白いカーテンがゆらゆらゆれている。養護教諭は机に向かって一人作業をしていた。
 保健室に入りドアを閉めると、「あら。見慣れない顔ね?今日はどうしたの?」と、20代前半と見られる若い見た目の養護教諭が小首をかしげながら聞いてきた。「少し頭が痛くて。休みたいんですけど」と片手で頭をおさえながら言うと、養護教諭は少し僕のことを見回し、「ふぅん。いいよ休んで。次の時間休むこと連絡するから、組と名前教えて。」と何か察したように言った。「2年3組の青木裕樹です」と答えると、養護教諭はメモを取リ始めた。取り終えると、立ち上がり、「じゃあ先生に連絡してくるから、ベッドで寝てていいよ。お大事にね」と言って出ていってしまった。