幸い、この天神学園は来る者拒まず去る者説得。

凛よりも遥かに偏狭な枠組みの生徒や教師、関係者も数多く存在する。

魔道協会からしてみれば、異世界の人間や人外、異端者を数多『生徒』として匿う天神学園は厄介な存在であり、表向きは不可侵であるが、裏では記録に残さない事を条件に現在も睨み合いが続いている。

現在のヴラド学園長になってから、特に一触触発の状態だ。

何せヴラドは協会から異端とされる吸血鬼、しかもその中でもとびきりの真祖なのだから。

「魔術学院に通っていた頃は、そんな話よく聞いたよ。真祖が学園長を務める学園など異教徒の群れのようなものだってね」

ケラケラ笑うルカ。

「……」

凛はそんなルカを見る。

「ねぇルカ…アンタ何で魔道協会から抜けたの?魔術を学ぶには最高の環境であり、自分の研究こそが最優先の魔術師にとって、協会の魅力は何物にも代え難い筈でしょ?」

「…前にも言ったでしょ?」

ルカもまた、凛の顔を見た。

「『そういうの』嫌いなんだ、僕」