「俺は健康の為に、グリフィノー拳闘術やってんじゃねぇからさ」

困ったように、リュートは苦笑いした。

「いざとなったら、古奈美やオフクロや、仲間を守る為の力が欲しいから、グリフィノー拳闘術覚えたんだ。誰かに負けっぱなしでいるのは悔しいから、グリフィノー拳闘術覚えたんだ。それを今更、心静かな余生送れって言われてもなあ…」

古奈美や蒲公英の顔を見るリュート。

「年寄りみてぇに落ち着く歳でもないだろ?」

「でも」

ティグルがリュートの肩に手を置く。

「リュー君の召喚じゃ、精霊達はもう来てくれないんだよ?」

「今まで力貸してくれたのは感謝してるよ。精霊達のお陰で、強ぇ奴らにも勝てたんだしな。でも」

ティグルの手をゆっくりと下げ、リュートは言った。

「精霊術使えるようになる前だって、素手でドラゴンに喧嘩売ったりしてたんだ。元に戻っただけだよ。何とかなるって」