碧眼で、リュートを見つめる女王。

どんな医師よりも、精霊、しかも女王の診断は正確だ。

彼女は人間では把握できない精密な診察が可能である。

その結果。

《間違いありませんね…リュートは人間の医師が言う所の、精霊乖離症です》

女王は冷静に告げた。

乖離とは、背き離れていく事。

つまり精霊乖離症とは、精霊達が召喚に応じなくなる症状を指す。

病気というよりは素質や体質であり、先天性の場合が多い。

精霊召喚が出来ない者は、本来生まれつき召喚出来ないものなのだ。

故に、リュートのように後天的にこの症状が発症する事は稀である。