大会が終わり、ヒノモトを離れた後。

リュート達は真っ直ぐ天神地区に帰らず、ミルトゥワに立ち寄った。

リュートと古奈美の婚約祝い、グリフィノー家との顔合わせ、大会の祝賀会というのもあったが、本当の目的はリュートの病状の診断だ。

ヒノモトの典医も優秀であるとはいえ、やはり精霊関連の症状は専門ではない。

精霊術の発達したミルトゥワで、診断してもらうのが一番だろうという事になったのだ。

「たまに帰って来て、逞しくなった息子達を見る事になると思ったら、お前は全く…」

リュートを診察するのは、急遽呼び出されてミルトゥワに帰ってきた父のティーダだった。

正確には、彼の召喚する森の精霊フォレイスの女王だ。

精霊女王召喚はティグルでも可能だが、彼も大会直後で体調が万全ではない。

無理はさせられなかった。

「森の名を謳う、我が名は『ティーダ・グリフィノー』。名の契約に従い、血の盟約に応えよ、ロイエ・フォレイス」

翠色の光の粒子を撒き散らしながら、リュートの前に森の精霊の女王が降臨する。