天神学園。

「学園長っ」

いつも冷静な花龍が、少し呼吸を乱して学園長室に入って来る。

「ヒノモト内務卿杯武道大会にて、ダン…いえ、ダンドリッジ・タチバナ教諭が優勝を収めたそうです」

「そうだろう」

いつもの椅子に腰掛け、背を向けたまま学園の様子を一望しているヴラド。

顔は見えない。

「俺を倒したのだ。つまり最強という事に他ならない。天神の王に勝つという事は、他の地でも王でなければならない。わかるか?花龍」

「……」

花龍はクスッと笑う。

「嬉しいくせに」

「ん?」

肩越しに花龍をギロリと睨むヴラド。

「何か言ったか花龍」

「いえ」

既に花龍は、いつもクールビューティーの秘書の顔だった。