ヒノモト将軍家宿所。

今でこそ大久保ら政治家の官邸として使用されているが、嘗ては勅使河原 慶晃公が穢土城外に滞在する際の宿所として使っていた平城である。

リュート、ティグルの2人は、ここで古奈美やアマリリスと共に療養中だ。

典医(嘗ての将軍家や大名に仕えた医師)まで呼んで、勿論古奈美やアマリリスの手厚い看護も受けている。

何せあの激闘の後だ。

魔力を与えれば、チーン!と回復するダンドリッジと違い、安静にしている必要がある。

布団の中で、ぐっすりと眠る2人。

が、夢現で声が聞こえる。

「あ!こ、これはリュート君のお母様!は、はじめまして、私、勅使河原 古奈美と申しま…」

「うんごめん、挨拶はまた今度ね!リュー君とティグ君はっ?」

「あ、はい、リュート君とティグル君は今、ヒノモトの典医の治療を受けて順調に…」

「テンイッ?転移してるのっ?胃癌?肺癌っ?」

「い、いえ、その転移ではなくてですね…」

「じゃあどこに転移してるのっ?死ぬの?リュー君もティグ君も死んじゃうのっ?」

「いえ、順調に回復中ですから、どうか安心して…」

「タンポポ様、落ち着いて下さいませ、リュートもティグル様も、勇者グリフィノーの血筋ですもの、そんな柔な体はしていませんわ」

「柔なって何アマリリスちゃん!私のリュー君ティグ君を、そんな頑丈なロボットみたいな言い方しないで!」

「あうあうあうあう!も、申し訳ございませんタンポポポポポさまままままっ」

「お母様!そんなに揺さぶってはアマリリスさんが壊れてしまいます!」

おちおち寝てられねえ。