「ライジングドラゴンッ、ナッコォオォォオォオッ!」

跳躍からのかち上げ気味の右アッパーは、確かにドラゴンの顎に直撃した。

だが、たかが人間の拳打だ。

ドラゴンにとっては蚊に刺された程度のもの。

ギョロリと。

ドラゴンの縦長の瞳孔が青年を見据える。

大きく鼻息。

肺に空気が満たされる。

その空気が次に吐き出される瞬間、空気は高熱のブレスとなって青年を焼き尽くす。

だからそうなる前に。

「!?」

飛んできた。

この場から数キロは離れた皇都からの、氷の精霊フラウの力を帯びた爆裂徹鋼焼夷弾。

その一撃を以ってドラゴンは転倒し、ピシピシと凍結する音を立てながら動きを封じられる。