確かに、大会運営であるアマリリスや大久保は把握していた。

残る選手は、穢土全域方々を探し回っても、あの2人しかいない。

あとの選手は、全員敗北や相討ちによる負傷で救急班が収容した。

ティグルの見立て通り、これが決勝、これが最終決戦。

ヒノモト内務卿杯武道大会最後のカードは、期せずして勇者の子孫と魔王の子孫。

「が…別に貴様を倒して宇宙全土を支配する気もない。負けても宇宙は滅亡せん。安心して敗北しろ」

いつものように不敵に笑うダンドリッジ。

両者は対峙する。

長く、重苦しい沈黙。

「……」

「……撃たないの?」

ティグルが言う。

間合いは凡そ10メートル。

射撃が届かない距離ではない。

拳銃使いのダンドリッジが有利な間合い。

ティグルも一足飛びで距離は詰められるが、それより先に早撃ちで先制できる。

「それとも」

ティグルは飛び出した!

「撃てないのかな!」