そんな中に、飛び抜けた強さを持つ者が他にもいた。

黒装束、短刀の二刀使い。

脇差か小太刀かは知らぬが、刃渡りの短い刀を小回りよく操り、次々と敵を倒していく。

彼を見ていた観客は、或る事に気付く筈だ。

…二刀使いは、白い道着の男ばかりを狙って倒していた。

試合開始の乱戦の時から、中盤戦の1対1の戦闘、そして現在に至るまで。

二刀使いの通った後には、血に染まった白道着の男達が倒れていた。

血糊のついた二刀を、己の黒装束の袖で拭い、彼は呟く。

「…リュート・グリフィノーは何処だ」