「さて、膠着状態にも飽きたな」

煙草を1本吸い終え、優男は紫煙を吐き出した。

「君はどうやら蜘蛛の巣からは逃げおおせられないようだ。ならば嬲るのも不憫。ここはひとつ、一気に仕留める事にする」

ダンドリッジの頭上から迫るのは、輪っかを作った鋼線。

差し詰め絞首具といった所か。

「絞首具?違うね、斬首具だ」

優男は薄く笑った。

「首にかかると同時に、頭部が飛ぶ。死ぬと分かれば、君も降参するしかあるまい」

「…降参?」

ダンドリッジは口角をつり上げた。

「何故降参する必要がある?貴様を仕留めるのに、腕1本をどうするかだけの問題だろう?」

「ほぅ?絡め取られた腕を捨てるのかね?まだこの大会は中盤戦にも満たないかもしれないというのに、たった1人倒す為に、君は腕を捨てるのかね?」

「ああ。捨てるが、それが何か?」