乱戦は、尚も続いている。

勝つ者、負ける者、勝っても手傷を負って蹲る者、その蹲った者を狙う者、己の信念に反するとして動けぬ者は狙わぬ者、その信念の為に逆に手傷を負い敗北する者。

まるで人生の縮図を見るようだ。

正々堂々だけでは勝てない。

卑怯な真似だけでも勝てない。

戦術も実力も兼ね備えた者だけが、この武道大会の最後の1人となり得る。

敵は己以外の全て。

全員を倒す事だけが生き残る方法。

そんな中で。

「リュー君!」

この数百名の中で、たった1人だけに挑み続ける者もいた。

ティグル・グリフィノー、そして彼に狙われ続けるリュート・グリフィノー。

この試合が開始されて、モブ1人を同時に倒した直後から、ティグルは隣にいたリュートのみを狙って戦い続けている。