反物屋の屋根の上で、鎖鎌の使い手と二刀使いが大立ち回りを演じる。

風鈴売りの屋台を引っ繰り返して、蛮族の男と相撲取りが取っ組み合いを始めた。

通りを挟んで、狙撃手と弓兵が壮絶な銃撃戦を展開する。

穢土の城下町は、瞬く間に合戦場と化した。

砂煙舞い上がる、動乱の街。

それでも。

「ほらほら、大会に無関係の町人は下がってな!」

「そこ!危ねぇぞ!観戦は向こうでな!」

大会参加者達は、非戦闘員達には決して危害を加えない。

寧ろ逃げ遅れていたら、抱き上げて避難させてくれるほどの紳士ぶり。

武道家というのはこうでないと。

という訳でヒノモト内務卿杯武道大会、出場選手以外は怪我人どころか迷子すら出ずに進行中。