「根回ししたのはティーダか?シオンか?…いや、奴らは何もかも放り出して旅の途についていると聞いた。ならば大方新米…リプニー辺りの差し金か」

学園長の机…革張りの椅子に腰掛けるヴラド。

その態度は尊大だ。

「リ、リプニーばばあに言われて、アンタの警護に来た」

「口を慎め、小僧」

リュートの言葉を、ヴラドは遮る。

「あの新米は、貴様如き無力な平民がばばあ呼ばわりしていい新米ではない。あの鴉丸 禿鷲との決戦で、運命の5分を死守した1人だ。貴様なぞ1秒たりとも守れんわ、愚図が」

「っ……」

何でそこまで言われなければならないのか。

悔しいのは山々だが、リュートは何ひとつ言い返せない。

相対しているだけで、この息苦しさ。

何だコイツ。

こんな化け物に、本当に警護なんて必要なのか?