モブは尚も語る。

「俺が唯一敵と認めてるのは、先の東郷の乱を鎮圧したっていうグリフィノーの子息だけだ」

本人の前で言うモブ。

「弟は東郷を仕留めたっていう無手の使い手、兄貴は一振りで士族の群れを炎と共に薙ぎ払ったっていう異国の剣術の達人。どっちも相当な腕前と見たな。お前らじゃあ一瞬で塵芥だ」

顎を撫でながら、モブはその兄弟がどれだけ強いかを力説する。

「まぁ、俺が辛うじて紙一重で勝てるかどうか…それほどの相手だ(キリッ)」

抜かしおる。

「あの兄弟を倒した暁には、兄貴の持ってる剣を俺が貰い受けてやるとするかな。俺のような剣聖にこそ、そんな名剣は相応しい。日々磨いて、愛でてやるとするさ」

(きもっ)

レーヴァテインさんが密かに呟く。