男…天神学園学園長、ヴラド・ツェペリは振り返ってリュートを見た。

リュートよりも背は高い。

澱んだ吸血鬼の眼、長くボサボサだった黒髪は、いまや白髪…光の加減によっては銀髪にさえ見える。

流石の真祖も、数百年という長きを生きた末、老化が始まったのか。

「おしゃれ染めだ」

おしゃれ染めなのっっっっ?

最近はヘアカラーにも興味を示し始めたツェペリ卿である。

「馬鹿孫が、俺にそっくりで見分けがつかんと周囲が言うものでな。髪色を変えてやった。俺は俺1人だ。唯一無二。血を分けた孫だろうと、俺に成り代わる事は許さん」

そう言い放つヴラドは、凄まじい威圧感を放っていた。

リュートの口汚い暴言も噤んでしまうほどに。

「…貴様は…そうか、シオン・グリフィノーの孫、ティーダ・グリフィノーの息子か」

見据えられただけで死を意識してしまうような眼が、リュートを見る。

祖父さんの祖父さん…フェイレイ・グリフィノーが戦い、倒したという魔族の王というのが、こういうのだったのだろうか。

そんな事を思わせてしまう。