前のめりになって刺突を繰り出す士族は、その背中を転がるようにしてティグルに回り込まれた。

振り向いた瞬間、足蹴りで刀を上空へ弾き飛ばされる。

しまったと思った時に、ティグルと目が合った。

優しげな笑顔。

直後、レーヴァテインによる斬撃!

浅い切り傷とは裏腹の強烈な衝撃に、士族は倒れた。

背後から槍で突いてくる敵には、掌を向け。

「!?」

小さな爆発と共に、目も眩む閃光。

光の精霊ウィスプによる無詠唱召喚での目晦まし。

そこに出来た隙に、槍を摑んで回し蹴り!

「おのれ!」

四方八方から、一斉に斬りかかってくる士族達。

これを。

「退けぇ!」

ティグルは円を描くような斬撃で、一気に斬り散らした!

その衝撃に砕け散る刀、押し倒される士族達。

ティグルは息も乱さず、その視線のみで士族達を圧倒する。

「退くなら逃げる敵までは追いはしない。向かってくるならどんな未熟な敵でも容赦はしない」

レーヴァテインを地に突き立て、彼は告げる。

「誇りか、手傷か。どちらかを選ぶ権利くらいは与えてあげるよ」