「要人警護ねえ…」

呟くリュートの顔を、リプニーはじっと見る。

「興味あるのかしら?」

いまやリュートもリプニーも、要人警護される側の人間だ。

そもそもグリフィノー家は勇者の家系。

先代フェイレイの時代から、警護など必要もないほどの強さを身に付けていた。

とはいえ要人には違いなく、この離宮にも多くの手練れが勤めている。

「試合と違って、素性の知れない敵がいつ何時襲撃してくるか分からない。そんな相手を少ない情報だけで相対し、警護対象を確実に守る…限りなく実戦に近い任務なのよ、要人警護って」

「……」

退屈そうにしていたリュートが、身を乗り出してリプニーの話を聞く。