「だが」

ダンドリッジが口を挟む。

「今再び勅使河原と沖田をヒノモトに呼び寄せ、貴様は2人に仕事をさせようとしている」

ダンドリッジは古奈美を見た。

「陸軍元帥・東郷 隆盛の武装蜂起を鎮圧させ」

次に沖田を見る。

「その東郷を、秘密裏に暗殺させようとしている」

「……相違ない」

何も否定する事なく、大久保は頷いた。

「戊辰大戦終戦から、まだ日が浅い。政府はまだ安定せず、治安系統は乱れ、政(まつりごと)の中心部である穢土から離れた地域では夜盗盗賊が跋扈するような無法地帯だ。東郷以外の士族達の反乱も後を絶たない。政府は、東郷にばかり時間を割いている余裕はない。無論、この私もだ。早急に解決せねばならない。例え東郷を、討つ事になったとしても」